米国雇用統計は何故重要なのか【為替・株価に影響する理由】

FX取引をしていると必ず目にすることになるのが米国の雇用統計です。これは毎月基本的に第一金曜日の午後10時半(夏時間は午後9時半)に米国労働省から発表される前月の雇用関係の月次データです。その中でもこれまでは経済に大きな影響を与える非農業者部門雇用者数(Non Farm Payrollを略してNFP)と失業率が常に注目されてきました。

NFPはクローズドなインターバンクでのFX取引時代から注目された数字

この非農業者部門雇用者数と失業率はアメリカの中央銀行に相当する機関である連邦準備制度理事会(Fed)が金融政策を決定するのに長く大きな影響を与えてきており、個別の経済指標よりも雇用状況に重点を置いて最策を決定してきたFedの考え方が市場でも注目をあびる存在となったのです。

FXが国内で初めて登場したのが、1998年で、当初は先物取引をするプロ以外は実際に売買をほとんどしていませんでしたが、この雇用統計についてはその前段階のインターバンクのディーラー間のかなりクローズドな取引の時代から注目の数値となってきており、ある種為替関係者の月に一度のお祭りイベントとして経過してきた特別な指標なのです。

ですから日本の個人投資家がFX市場で56%ものマジョリティを形成するようになった今ではすっかり日本を中心として個人投資家が注目する数値へと成長するようになってきたというわけです。

通はこの発表を雇用統計と呼ばずにNFPなどと呼んでいかにもFX業界に詳しそうに振る舞いますが、実際問題として、米国をはじめとする金融業界全体がFXセクターだけでなくこの数字の推移に大きく注目しているのです。特にリーマンショック直後はこの数字が大きくマイナスに落ち込んだことからとくにFRBでの議論でも雇用統計数字を大きく区ロープアップするようになってきており、ここ6~7年はFRBの動きを予測する上でも極めて重要な指標と位置づけられてきているのです。

一流のアナリストが予想してもちっとも当たらないのがNFP

この雇用統計でもうひとつ大きな話題となっているのが、当代切ってのエコノミストやアナリストが時間をかけてNFPの予想数字を事前に発表するのですが、これがほとんど当たらないということです。それで飯を食っているプロがどうしてここまではずしまくるのかというのは毎回話題になりますが、これは集計上にいろいろな問題があるようです。

米国労働省では非農業部門に属する事業所に問い合わせを行い、その給与支払い帳簿を基に集計を行っています。自営業や農業従事者を含まずに、対象事業所は約40万社・従業員数約4700万人で、全米の約1/3を網羅していますから、それなりに正しい数値がでるのですが、ネットでの問い合わせではなく郵送などでのやり取りを行っているらしく、毎月の雇用統計が発表されるタイミングでは全数の返送が完了しないため、一部の数値による速報となることが数字を大きく変化させる要因となっているのです。

また失業率のほうはこのターゲット企業とは別に個人世帯などを中心として回答を得ているので、そもそもNFPと失業率がまったくリンクしていないという大きな問題もはらんでいるのです。こうしたことから年間20万ドル以上といった高額報酬を得ているアナリストやエコノミストが分析してもぜんぜん当たらないのが米国雇用統計予想となっているのです。

雇用統

イエレン議長就任以降は翌週のLMCIにも注目が集まる

2014年初頭にイエレン氏がFRBの議長に就任して以来、雇用統計のNFPと失業率のみならず19ほどの労働雇用関係の指標をチェックするようになっており、これがイエレンダッシュボードと呼ばれてきました。さらに昨年10月からはこのダッシュボードを元に労働市場情勢指数(LMCI)が雇用統計の翌週の月曜日に発表されるようになっています。今のところこの指標で相場が上下するような状況ではありませんが、少なくともFRBが雇用統計で発表されているその他の数字を含めてどのように評価しているのかはこの数字を見ると理解することができるようになっているのです。

参考:イエレン・ダッシュボードの概要と影響について

NFPの数値良好でドル円が上昇すると翌週必ずそれがピークで下落するアノマリーも

2014年3月以降、この数字が上昇するとドル円が大きく買われるものの、翌週にはそれがピークになって下落するというアノマリーが生まれつつあります。

実は2015年2月6日の1月分雇用統計も結果が予測をかなり上ぶれしたためドル円は翌週に向けて2円近く上昇することとなりました。今月はこのアノマリーは機能しないのかと思いきや、12日の夕方に公表されたブルームバーグの日銀記事のおかげでいきなり2円近い暴落に直面することとなり、週末はアノマリーどおりの推移となってしまったのです。

このように米国雇用統計はいくつもの話題を提供する重要指標です。常にチェックをしていくことで為替市場の動きを感じることができるものなのです。

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